#2・橋本美穂さん(道の駅オリーブ公園・30代・第1期卒業生)

Q;「しまの塾」を卒業して約3年、メンターと講師としても関わってくださいました。どういう変化がありましたか?

いちばん大きいのは、内面の変化です。「しまの塾」に参加者として参加していた2017年は、私自身は自分自身に満たされず悩んでいたんです。やりたいことがない、自分には軸がない、何か見つけないとという焦りがあり、「しまの塾」に自分から参加したいと立候補しました。夏頃に、城石さんが新しいサービスのためにモニターを募集していて(注;ジブンゴトセミナー立ち上げ期でした)そのモニターを通して、自分の考え方のクセに気がつきました。それは、出来ていることよりも出来ていないことに目が向くということ。また、自分の中から何か新しいことを見つけようとしても、その時に自分の中にあるものしか出てこない(自分の経験値以上のことは持ち合わせていない)ということや、自分が思っている以上に他人に認められたいという気持ちを持っているんだと、気づくきっかけでもありました。それまでは、ネガティブな感情に囚われがちでしたが、自分の性質に気がついたことで感情のコントロールがしやすくなりました。周りの環境もずいぶん変化しました。当時、抱えていた孤独感や不安を解消するために、まずはもっと島暮らしを充実させよう!と、可能な限り人の集まるところに顔を出し、知り合いを増やすように心がけました。(しまの塾の「マイプロジェクト」での取り組みでもありました)。仕事では、小豆島観光戦略会議のセミナーの司会(大阪会場)に抜擢していただくなど、社外の方と関わる機会に恵まれました。また、2019年には期間限定で「小豆島カメラ」の投稿チームにサブメンバーとして参加。島の中に職場以外の知り合いがほとんどいないところから、気の合うお友達と知り合うことができ、さらにご縁が繋がってできた貴重な経験でした。いま、目に見えて変化がなくても、劇的な成果を感じなくても、時間が経って実を結ぶこともあるんだと実感した3年間でした。

Q;普段どんなことを大切にしていますか?

モットーは3つあります。1つ目は「できることは多い方がいい」自分でできる事を増やしていくようにしています。訪日外国人客が増え始めた2016年頃から、オリーブ公園での業務を全て英語で置き換えることを目標に、英会話に通って勉強中です。2019年夏からは、落し物などいくつかのアナウンスを英語でもするようにしました。他のスタッフも同様に出来るように、原稿をマイクの横に貼り、公園内で英語での放送が当たり前化しました。2つ目は「やらなかった後悔を増やさない」。年齢を重ねて、「死」をより身近に感じるようになってきました。30歳になった頃から、後悔の少ない人生にしよう、やり残したことを減らしていこうと考え始め、高校生の時に諦めた英検2級に再挑戦したり、2020年初めにはフルマラソンに出場し、完走しました。3つ目は「人のせいにしない」。問題が起きた時には「では自分はどうすれば回避できたのか。」をまず考え、同じことを繰り返さないように努めています。

Q;これからの展望を教えてください。

あれもしたい、これもしたいと欲張りにいろいろ挑戦した3年間でもありました。その中で、「英語」と「写真を撮ること」は続けていきたいです。いま、コロナ渦で、訪日外国客も途絶え、英語を使う機会も無くなってしまいました。そんな中、NHKの語学口座の紹介に『語学を習得する秘訣は辞めないこと』と書かれてあるのを見つけ、励まされました。細々とでも、また次の機会に備えていたいと思います。写真は、もともとは仕事をする際に、自分で撮れたらなお良いという気持ちで始めました。せっかくオリーブに囲まれた職場で働いているので、オリーブや会社の魅力を、自分で撮った写真で発信していけたらと思っています。自分には力を伸ばそうと後押ししてくれる上司がおり、同じ方向に進んでくれる友人がいます。今後も5年後、10年後のためにタネを撒き続けていきたいと思います。

Q;伝えたいメッセージは?橋本さんにとって「しまの塾」とは?

私が「しまの塾」の1期生として感じたことは、「明日、理想の自分にはなれない」ということです。明日の朝起きたら英語がぺらぺらになっている、なんてことはない。毎日の積み重ねが理想の自分をつくる。なりたい姿があるなら、そこに向けて努力をするしかない、ということです。小さな成功を大切にして、休むことはあっても辞めず、自分はどうなりたいか、どのように生きていきたいか、ということを振り返りながら暮らしていきたいと思っています。こういうことは、「しまの塾」に入らなければ考えつかなかったでしょうね。島内の同世代の方の考え方や働き方も知ることができて、本当に良い機会でした。ありがとうございました。

取材後期(城石より)

彼女なくして2期以降の「しまの塾」は成立しなかったというくらい、第1期は受講生として、第2期はメンターとして、そして第3期は講師+メンターとして関わってくれた橋本さん。取材でも語ってくれた通り、受講生のはじめの頃はどこか自信がなさげで自分を卑下する傾向にありました。それが持ち前の行動力で色々なことにチャレンジする間にどんどん開花し、「あの子もしまの塾に来てたん?めちゃくちゃ優秀な人やなぁ」と私まで言われるように。彼女は第1期生の頃からよく「毎日の積み重ね」という言葉を使います。何気なく聞いていましたが、ある時から私も「積み重ね」という言葉をとても大切にするようになりました。彼女は「積み重ね」の代名詞のような人です。コロナ渦になる前、オリーブ公園にいると「Attention please!」という放送が聞こえてきました。英検に再チャレンジし、英会話に通い、よく仕事で使う会話を英訳し、原稿をマイクの横に貼る。彼女の湧き出る静かなエネルギーは、良い意味で周りにも広がっていくでしょう。出会えてよかったです。これからも、ずっと応援しています!