【委嘱】香川県デジタル戦略推進委員

香川県浜田知事より2021年度香川県デジタル戦略推進委員を委嘱され、6月9日第1回香川県デジタル化推進戦略委員会議にて5分間の提言をさせていただきました。

城石は、学校教育とフリーランス人材についての2軸から、最後に福祉をデジタルで支える事を話させていただきました。

小豆島の㈱DaRETO城石果純です。地域や人の魅力を生かすための人材育成やネットSNS運用などを行ったり都市部のライティングの受諾などの事業をしたりしています。また小豆島中央高校との共同プロジェクトを立ち上げて5期目となります。この3月にSetouchi-I-Baseで行われた瀬戸内チャレンジャーアワードでグランプリをいただいたことをきっかけに本委員としてお声がけいただきました。

本日は香川県のデジタル人材について、教育と仕事についての両軸からお話できればと思います。移住して10年、四人の子ども達は自然の中でたくましく育ちました。現在中学生になる長男は、勉強はスタディサプリという月額制のアプリを活用しています。有名講師の方が、教科書ごとに講義をしてくれている動画が月額実質980円で見放題でテスト対策や受験対策もあり、デジタルの力で特に地方の子ども達の環境は都市部の子供達と変わらなくなってきていると感じます。

一方で、気になるのが視野や選択肢の狭さです。昨年地元の中学1年生に向けて「進路を考える集い」でお話をさせていただきましたが、デジタル関連の職種は入っていませんでした。また肌感覚で医療系の学校に進学する高校生の多さに驚いています。地方では普段接する職業が限られており、意識的に教育の中で選択肢を提示してあげる、小中高校でデジタルを仕事にしている人たちとの交流を実施していくことは必須です。また「職場体験」でも、現状は各店舗にお邪魔して中学生でもできる掃除などをしている。そうではなくて、本当に香川の仕事って面白いんだと思ってもらえるような、キッザニアの地域版を作って学校教育に取り入れる。この中にデジタルの仕事を入れていく。

地方はどうしても出会う人が限られるのでオンラインを使って、犯罪に巻き込まれない安全な出会いの場を創出していく。今うちの子達はオンラインゲームをしながらZOOMをつないで東京など色んな所の人たちと交流させています。ゲーム条例によって、香川県は「IT企業、ゲーム関連企業」が進出しにくい県となりました。デジタル人材、特に企業誘致を戦略として掲げるのは難しい。だからすでに香川にいる子供達をデジタル人材として育てていく、また瀬戸内が好きなフリーランス、個人事業主を誘致するしかないと私は考えています。

そのためには、「教育分野のデジタル化といえば香川」というような施策が求められます。教育の中でデジタル人材を育てる施策を打っていく。専門家を入れたチーム発足を必須とし、カリキュラムのモデルを作り、各学校におとしていく。世界の事例を研究し、日本で最先端を走る。それくらいのことをしたいです。

息子の中学では、校長から『ギガスクール構想は始まったが、タブレットを使える先生と使えない先生がいる。大目に見てほしい』と4月の親向け説明会で話がありました。まずこの数ヶ月の間に、県が教員の最低限のリテラシーを引き上げる研修をする。昨年義務教育が3ヶ月止まるという前代未聞の事件がありましたけど、タブレットが全員に支給された今年度も、コロナが出て学校は休校になりました。タブレットが支給されても小さな町の教育委員会ではオンライン授業の対応ができません。とにかく2学期が始まるまでには全教員がオンラインで授業を行える、家庭にWiFi環境がない生徒にはWi-Fi貸出をすることを県が主導となって行ってほしい。昨年の休校でも熊本地震の経験からすぐにオンライン授業に切り替えられた熊本市などの自治体もありますので、そういう所の事例を横展開して最低限の学びの保証をしてほしいと思います。

香川の現状ですが、タブレットは沢山来たけれどWi-Fi環境が悪く、同時に10台繋ぐと回線速度が落ちるため、授業で一人1台のタブレットは使えないという高校もあります(実際には高校名を入れて話しています)。当たり前となったディベートなどのオンライン大会や教員のオンライン研修もWi-Fiの問題で満足に参加できないと言います。すぐにでも県内全校にWi-Fi環境の調査をし、ひとり1台のタブレットを全校生徒が同時に使えるようにしてください。生徒用タブレットは沢山来たが教員用は5台のみで準備ができない状況も聞いています。タブレットの設定やアカウント管理など、できる先生に偏り、業務過多となっています。IT支援員を教員とは別に各校に派遣する。専門チームを立ち上げ事例研究と先生方への研修をしていく。このあたりは早急な対応が必要です。

またフリーランス人材についてですが、Setouchi-i-Baseに、フリーランスの方にお渡しできる仕事を集めていく。弊社も都市部のライティングの仕事を現在3社から受諾していますが、沢山ある仕事の案件の中から質の良い仕事を見つけ受諾するというのは本当に大変です。アイベースに行けば、仕事もセットであるという状況を作り出す、それが業界内で知れ渡っていけば、自ずと香川にフリーランスは集まってきます。

最後に福祉の分野でも、各自治体の福祉課、児童相談所、女性センター、病院、警察などでの家族単位での情報が一元管理できる共有システムを導入し、ゆあちゃんの事件のようなことを二度と起こさないようデジタルの力で支えてほしいと思います。

今年度デジタル戦略会議は3回あり、それを経て香川県「デジタル化推進戦略」を策定します。現在骨子が策定されており、微力ながら県の力となれるよう頑張っていきたいと思います。